あかねが背中の女の子をのぞき込む。すやすや眠っている、小学校二、三年か、ただ、幸の子供の頃は間違いなく、こんな美少女であったに違いないと思う。そう、幸姉さんにそっくりだ。
「どれどれ」
なよは疲れ果てたように呻くと、立ち上がり、男の背中をのぞき込んだ。
「あぁ、あ」
と、なよは思わず声に出す、そして、大きく溜息をつくと、いきなり、女の子の頭をすこんと右手ではたいた。
「狸寝入りするな、幸」
「ててっ、ごめん、なよ姉さぁん」
子供になってしまった幸は照れ笑いのような表情をなよに浮かべた。
娘3人、学校へ通う。学園物語にする予定はないけれど
日曜日 30 10月 2011 at 11:30 pm.
「あれは」
男が小さく呟いた。
夕刻、中学校から帰る白の姿だ、友人だろう、同じ制服を着た女の子と公園のベンチでお喋りを楽しんでいる。
男は白の世界が少しずつ広がって行くのを感じた。
学校に通わせたのは正解だったかなと思う。
黒が中学三年、三毛は一年、白が二年と一年ずつずらしたのだが、黒と三毛は出席日数を計算し、出来るだけ学校に行かないようしている。同い年の人間が嫌いなようだ。白だけが、医者になるのを目指し、真面目に学校へと通っていたのだった。
男は少し笑みを浮かべると背を向けた。