異形 月の竹 眠るモノ 四話

かぐやのなよたけの姫、危機に陥るかも

月曜日 18 7月 2011 at 6:49 pm.

男は、夕刻、茶店の窓際の席に座っていた。
珈琲をテーブルに戻し、行き交う人を眺める。
街中、まだ、日差しは残り、夕食の材料だろうか、買い物帰りらしい女性が多い。
男は会計事務所の勤めからの帰り、待ち合わせにと茶店に寄ったのだった。
幸せすぎて申し訳ない、思わず、男の口から小さく言葉が漏れた。

「よう、久しぶりだな。寺で閉じ込められて以来だ」
男がゆっくりと顔を上げた。
「どちら様でしょうか。お人違いではありませんか」
男が興味無さそうに言う。

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異形 月の竹 眠るモノ 三話

月曜日 18 7月 2011 at 6:46 pm.

「先生、見回りに行こうよ」
黒が夕食後、男に言った。
「でも、寒いし。行くのやだなぁ」
男がくすぐったそうに笑う。
「もぉ。そんなことじゃ、町を守れないよ」
怒りだす黒が面白くて仕方ないと男が笑った。黒達三人がここに住むようになって一年が過ぎた。裏社会での術師と鬼の戦いは既に鬼の優勢となり、一般の人達には知らされていないが、術師の目を擦り抜けては鬼達が暗躍し、人々をさらってその血肉を食らっていた。ようやく、この頃になると、一般の人達も鬼を目撃することとなり、嘘か真かと戸惑いながらも、夜間の外出を控え、また、昼間でも一人で歩くことを避けるようになっていた。
男が台所を覗くと、白があさぎを手伝って洗い物をしている。幸はあかねに数学を教え、それを三毛が覗き込んでいた。
「本当にありがたいことだな」
男は小さく呟くと立ち上がった。
「よし、行くか、黒」
「うん、先生」

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異形 月の竹 眠るモノ 一話

幸、白と旅する

月曜日 18 7月 2011 at 6:31 pm.

「あさぎ姉さん、お腹減ったよ」
黒がばたばたとあさぎのいる台所にやってきた。
「もうすぐ晩御飯だよ」
「お腹が減って待てないよぉ」
「しょうがないなぁ」
あさぎが何げなく黒のお腹をとんと右手で押す。
「このお腹の柔らかさは脂肪ではありませんでしょうか。太り過ぎはだめだぞ」
「だ、大丈夫だよ。しっかり練習するよ。おもいっきり動くよ」
あさぎは笑うと、戸棚を開けてみた、御煎餅があったはずだけれど。
「あれ、ないなぁ、お煎餅」

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異形 月の竹 眠るモノ 二話


月曜日 18 7月 2011 at 6:41 pm.

朝まだき、空気がしんと静まり返っている。
男と黒は、朝の空気の中を梅林の奥深く、ゆっくりと歩いていた。男の片手には、新しいコピー用紙の束がある。

「黒、この辺でいいだろう」
男が立ち止まると、左手を上げ、手のひらを空に向ける。男の手の上に、水球が現れた、その水球はゆっくりと上昇しだし、弾けた。
「水の結界を張った。誰も近づけないようにね」
黒が驚いたように声を出した。
「先生も母さんも呪文唱えずにどうして出来るの」
「幸は説明してなかったかな」
黒が頷いた。

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なみゆい


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